おりものは毎日出るもの
おりものには、体内に菌が侵入するのを防いだり、受精を手助けしたりする役割があるので、おりものは女性にとって必要なものです。
そのため、おりものが毎日出ること自体はおかしいことではありません。
おりものが出るということは、菌から膣内を守ってくれているということです!
ただし、おりものは身体の異常を表すサインでもあり、おりものの量が多すぎるなどすると、病気の可能性もあります。
またおりものの量やニオイには個人差があり、月経周期や年齢によって、おりものの量が大きく変化することも理解しておく必要があります。
日頃からおりものの変化はよく観察しておきましょう。
おりものの役割
そもそもおりものとは、子宮内膜や膣、皮脂腺、汗腺などの分泌物が混ざり合ってできる、粘り気のある液体のことです。
自浄作用
おりものには、潤いのある状態で膣内を清潔に保ち、膣から体内に入ってくる細菌を防ぐ「自浄作用」の役割があります。
さらに、おりものによって膣内が弱酸性に保てているので、善玉気(デーテルライン桿菌)によって、カンジダ真菌や大腸菌の増殖も防ぐことができます。
受精の手助け
おりものが排卵期になると、ゼリー状に変わり、おりものが精子を包み込んで、精子が子宮のもとに到着しやすくする役割がおりものにはあります。
生理周期によって、おりものの量が変化する
おりものは、女性ホルモンの1種である卵胞ホルモン(エストロゲン)と大きく関係しているので、月経周期に合わせておりものの量は増減します。
通常おりものの量は、排卵期【月経終了後から約14日間】でもっとも量が多くなり、生理が終わった後にまた量が次第に減っていきます。
また妊娠すると卵胞ホルモンの分泌が盛んになるので、妊娠初期にもおりものが増える場合があります。
生理周期 | おりものの量 | 特徴 |
---|---|---|
月経 | ・茶色いおりもの | |
卵胞期前半 | もっとも量が少ない時期 | ・茶色いおりもの ・さらっと(サラサラ)した状態 |
卵胞期後半~排卵期 | もっとも量が増える時期 | ・透明、白色のおりもの ・水っぽい状態 ・とろみのある状態(ゼリー状) |
黄体期 | ・白く濁った色 ・粘り気のある、どろっとした状態 ・ニオイが次第に強まる |
|
生理前 | ・白く濁った色 ・おりものの量が増加 |
おりものはストレスや疲労によっても変化する
おりものは女性ホルモンの分泌に比例しています。
そのためストレスや疲労などによって女性ホルモンのバランスが乱れると、おりものの状態にも影響する恐れがあります。
たとえばストレスや疲労だけでなく、体調不良や睡眠不足よってカラダの免疫力が低下し、ホルモンのバランスが崩れてしまうと、膣内環境が乱れてしまいます。
膣内環境が乱れると、自浄作用が失われてしまうため、雑菌が繁殖してしまい、おりものが一時的に増加する場合があります。
・ストレス
・疲労
・睡眠不足
・体調不良
・乱れた食生活
・運動不足
など。
おりものの異常から疑われる病気
正常なおりものは、無色透明~白色、もしくは白く濁ったクリーム色をしており、少し甘酸っぱいニオイがします。
あくまで目安ですが、おりものの量は、おりものシートでカバーできる範囲、下着を1日中変えずにいられる状態、であれば基本的には心配ないとされています。
生理周期によっても、おりものの状態は大きく変化します。
しかし生理周期に関係なくおりものの量が大きく増減したり、ニオイが変化したりするなど、症状が長引く場合やおりものに異常が見られた場合は、1度婦人科で診てもらうことをおすすめします。
病名 | 特徴 |
---|---|
細菌性膣炎 (別名:非特異性膣炎) |
・腐敗臭 ・灰色のような水っぽいおりものが ・黄緑色のおりもの ・茶系や赤系のおりもの(不正出血を伴う場合) ・陰部の赤い腫れ、ただれ |
萎縮性膣炎 (別名:老人性膣炎) |
・悪臭がする ・茶色やピンク、黄色のおりものが出る |
膣カンジダ | ・おりものの増加 ・酒粕やヨーグルト、粥状のおりもの ・ボロボロとしたおりもの ・白く濁った色のおりもの |
子宮頸管炎 | ・茶色のおりもの(不正出血を伴う場合) ・膿状のおりもの ・かたまりのおりもの ・おりものの増加 ・腹痛や発熱 |
子宮頸管ポリープ | ・悪臭 ・茶色や赤色のおりもの |
子宮頸がん | ・おりものの増加 ・茶色や赤色のおりもの ・悪臭 |
子宮体がん | ・茶色や赤色のおりもの(不正出血) ・悪臭 ・膿状のおりもの |
子宮筋腫 | ・経血の増加や不正出血の増加 ・茶色いおりもの |
子宮内膜症 | ・不正出血 ・茶色いおりもの |
子宮膣部びらん | ・粘り気のあるおりもの ・白色や茶色のおりもの ・茶色や赤色のおりもの(不正出血を伴う場合) |
トリコモナス膣炎 | ・黄色や黄緑色のおりもの ・泡が混ざったおりもの ・生臭い ・おりものの増加 ・外陰部に強いかゆみ、ただれ |
クラミジア感染症 | ・黄緑色のおりもの ・おりものの増加 ・水っぽいおりもの ・膿状のおりもの ・発熱や下腹部の痛み |
淋菌感染症 | ・黄緑色のおりもの ・悪臭 ・膿状のおりもの ・不正出血 ・下腹部の痛み、発熱 |
おりものの異常から疑われる病気には、性交渉が原因で起こる病気もあります。
おりものは、色や量、ニオイの状態を頻繁にしっかりチェックしておきましょう。
閉経後におりものが出続ける場合は要注意
通常、閉経後から2~3年ほど経つと、女性ホルモンの1種である卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌がほとんどなくなります。
そのため、おりものの量も急激に減少するんです。
閉経後2~3年ほど経っても、閉経前と変わらないくらいおりものが出るという方は、病気にかかっている恐れもあるので、1度婦人科で診てもらいましょう。
おりものが出続けるからといって必ずしも病気というわけでもありません!
加齢によるホルモンバランスの乱れで、自浄作用が弱くなり、雑菌が繁殖して炎症を起こしているだけかもしれません。
毎日出るおりものには、おりものシートで対策を!
おりものが下着に付いてしまうと、ベタベタしたり、ヌルっとしたりして、不快感がありますよね…。
おりものが毎日出るとい方は、おりものシート(パンティライナーとも呼ばれる)を着用して、対策してみましょう。
不衛生に同じおりものシートを1日中付けていると、ムレなどが原因となり、雑菌の繁殖を促進してしまいます。
すると逆におりものが増えてしまう恐れがあるので、おりものシートは頻繁に付け替えるようにしてくださいね!
そして雑菌の繁殖を防ぐためにも、通気性のよい下着を着用したり、必要以上に膣洗浄をしたりしないことも、おりもの対策には大切なことです。
おりものシートを使っている人は半数以上
【おりものシート、使っている?】
引用:ブラパン/ワコール
ワコールが行ったアンケート調査によると、半数以上の女性がおりものシートを使用しているようです!
おりものシートを実際に使用している人の感想として、「ショーツが汚れないから洗濯がラク」「ニオイを気にする事がなくなった」「急に生理がきた時にも安心」「かぶれがなくなった」などが挙げられました。
まとめ
おりものには自浄作用や受精促進といった女性にとって大切な役割があるので、正常時のおりものであれば、毎日出ること自体はおかしいことではありません。
ただしおりものの量が多かったり、悪臭がしたりするなど、おりものの量・色・ニオイの変化や状態は要チェックしておく必要があります。
またストレス・疲労などによる女性ホルモンの乱れ、生理周期、年齢によっても、おりものの状態は大きく変化することを理解しておきましょう。
おりものの異常から考えられる病気は数多くあり、その中には不妊につながるような病気や性感染症もあります…。
少しでもおりものの状態が気になる場合は、1度婦人科で診てもらうことをおすすめします。
そして「おりもので下着が汚れて困っている」「ヌルヌルして気持ち悪い」などと感じている人は、おりものシートでカバーしましょう。