正常範囲内のおりものの量
正常範囲内のおりものの量は、おりものシート(パンティライナー)でカバーできる範囲、もくしは下着を1日中替えずにいられる状態であれば、基本的には心配ないとされています。
ただし、おりものの量には個人差が大きくあり、人によっても量の多さの感じ方は違うので、あくまで目安になります。
またおりものの量だけで、おりものが正常かを判断するのは難しいです。
おりものが大量に出る原因
排卵期
おりものの量は、女性ホルモンの1種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量に関係しています。
そのためエストロゲンの分泌が増える卵胞期後半から排卵期(月経終了後から約14日間)には、おりものの量が一時的に増加します。
生理周期の中でも、排卵期はもっともおりものの量が増える時期です!
排卵期や月経前に、おりものの量が増えることが正常なことです。
・透明、もしくは白色
・水っぽい状態
通常、排卵期で大量に増えたおりものは、黄体期【排卵日から生理開始日まで】を迎えると次第に量が減少していきます。
排卵日の求め方
排卵日の求め方は、【生理開始日-14日】です。
生理周期には個人差があり、月々によっても排卵日は異なるので、排卵予定日の前後2日間は、その可能性があると考えておいてくださいね!
妊娠
おりものの量は女性ホルモンのバランスによって大きく変化します。
妊娠すると、エストロゲンの分泌量が増えるので、おりものの量も自然と多くなります。
妊娠中におりものの量が多くなるのは、細菌から胎児を守るためです。
また出産時には、産道を潤し、赤ちゃんが出てきやすいようにする働きもありものにはあります。
ストレス
ストレスや疲労などによってカラダの免疫力が低下していると、ホルモンバランスが崩れ、膣内環境も乱れてしまいます。
すると雑菌が繁殖してしまい、おりものもが一時的に増えてしまう場合があるんです。
十分に休息を取れば、正常に戻ることが多いようですが、雑菌が繁殖しすぎてしまうと、感染症や病気にかかるリスクが高まってしまいます。
睡眠不足や体調不良にも気をつけましょう!
トイレのビデの過剰使用
「おりものが気になるから…」
「膣内を清潔にしたいから…」
などという理由で、ビデを過剰に使用している人は要注意です!
膣内をビデで頻繁に洗浄していると、雑菌の繁殖を抑えて、膣内を守ってくれている善玉菌(デーデルライン桿菌)まで洗い流してしまいます。
善玉菌が減ってしまうと、膣内の抵抗力が低下し、逆に雑菌の繁殖を促してしまう恐れがあり、炎症や病気を引き起こす原因となってしまいます。
病気
感染症や病気が原因で、膣内に異常が発生し、おりものの量が増える場合があります。
排卵期が終わってもおりものの量が減らなかったり、おりものの量が急激に増えたりしている人は、1度婦人科で検査してもらいましょう。
おりものに異常が表れる病気は、放っておくと不妊症につながってしまう病気もあるので、少しでも気になる状態であれば、早めに医師に相談することをおすすめします。
年齢によっても、おりものの量は異なる
おりものの量は、女性ホルモンの分泌量に比例しているため、年齢によっても大きく変化します。
10代のおりもの
初潮を迎えることから、おりものが次第に増え始めます。
おりものが出始める最初の時期は、少量のおりものが下着やトイレットペーパーに軽く付着する程度です。
でも10代はまだ女性ホルモンの分泌が不安定な時期なので、おりものの量も増減しやすいのですが、10代はホルモンが活発に働く時期でもあるので、おりものの量や頻度は増加していく傾向にあります。
ちなみに、おりものが出始めたら、初潮が近く訪れると考えられるでしょう。
20~30代のおりもの
20~30代は、おりものの周期が安定してくる時期です。
とくに20代は女性ホルモンの分泌が盛んになるので、もっともおりものの量が増加する時期でもあります。
30代のおりものも、20代と同様、おりものが出やすい年代です。
40~50代のおりもの
更年期に向けて、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が減少してくるので、自然とおりものの量も徐々に減少してきます。
40代を過ぎたころから、おりものの量が増加することは少ないようです。
エストロゲンの分泌が減少すると、おりものが減るだけでなく、女性ホルモンのバランスが崩れることにより体調不良を起こしやすくなったりするので、より気をつけましょう。
閉経後
閉経後、約2~3年経つと、エストロゲンの分泌がほとんどなくなってしまうので、おりものの量も急激に減少します。
おりものの量の変化から疑われる病気
・細菌性膣炎
・子宮膣部びらん
・子宮内膜炎
・子宮頸がん
・膣カンジダ症
おりものの量だけでなく、おりものの色や粘着度も、要チェックしておきましょう。
細菌性膣炎
ストレスや疲労が原因でおりものが増加し、自然に治らずに炎症を起こしてしまうと、「細菌性膣炎」になる恐れがあります。
細菌性膣炎は非特異性膣炎とも呼ばれ、膣内環境が乱れて自浄作用が失われることで雑菌が繁殖し、膣内が炎症を起こしてしまう状態です。
細菌性膣炎にかかっても、軽症である場合は、しっかり休息を取れば炎症が治まる場合もあるとされています。
しかし細菌性膣炎は自覚症状がない人も多いので、通常時よりおりものの量が異常に多いと感じた場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
細菌性膣炎時のおりものの状態
・腐った魚のような生臭いにおいがする
・薄い黄色や黄緑色をしている
・水っぽい状態である
(もしくは、ベトっとした状態である)
陰部が赤く腫れたり、ただれたりしている場合、下痢や嘔吐、高熱といった症状を伴っている場合は、細菌性膣炎の可能性が高く、症状がひどい状態なので、早急に病院へ行きましょう。
子宮膣部びらん
子宮膣部びらんは、妊娠適齢期の女性に多くみられる病気です。
膣に面した粘膜が外に向かって広がり、子宮の入り口である子宮膣部が赤くただれた状態になる症状のことです。
子宮膣部は粘液を分泌するところなので、ただれが広がってしまうと、おりものの量が増えます。
外陰部にかゆみを伴わず、おりものの色にも変化がみられないのに、おりものの量だけが多いという場合は「子宮膣部びらん」の可能性が高いです。
ただし不正出血を伴う場合は、粘り気がある白色や黄色のおりもの、不正出血を伴う場合は、茶色や赤色のおりものがでることもあります。
子宮膣部びらんは病気ではないので、基本的には治療を必要とせず、自然治癒で治るとされていますが、おりものの量が異常に多いという人は、1度婦人科で診てもらいましょう。
子宮内膜炎
子宮内膜炎とは、何らかの原因で、子宮内に細菌が入り、子宮の内側にある粘膜が炎症を起こしている状態です。
おりもの量が増加するだけでなく、白っぽいおりものが増加、発熱や下腹部痛、腰痛などの症状を伴います。
子宮内膜炎は炎症が長引くと、他の病気にかかりやすくなり、不妊の原因になる可能性もあるので、十分に注意しましょう。
子宮頸がん
子宮頸がんとは、子宮の入り口付近(子宮頚部)にできるがんのことです。
おりものが増加する他に、月経時の経血量が増加したり、おりものに悪臭を伴ったりする場合があります。
とくに20~30代に多く見られる病気です。
膣カンジダ症
膣カンジダ症は、膣内の常在菌(カンジダ真菌)が異常繁殖して発生する病気です。
ごく稀に性交渉からなる恐れもありますが、基本的にはホルモンバランスの変化や免疫力の低下が原因で起こります。
膣カンジダ症の特徴として、おりものの量が多くなる以外に、豆腐カスやヨーグルトのような白く濁った色でボロボロとしたおりものがでます。
さらに膣と外陰部に強いかゆみを伴っている場合、膣カンジダ症の可能性が高いです。
まとめ
おりものシートでカバーできる範囲や、下着を1日中替えずにいられる状態は、正常範囲内のおりものの量とされています。
おりものが大量に出る原因には主に、「排卵期・妊娠・雑菌の繁殖・病気」が影響していると考えられています。
また年齢によってもおりものの量は異なり、20~30代はもっともおりものの量が多くなる時期で、更年期に近づくにつれ量が減っていきます。
基本的に閉経後には、おりものの量がグッと急激に減ります。
おりものの量の変化だけではカラダの異常を判断するのは難しいので、おりものの色やにおいも要チェックしておくことが大切です!
排卵期や妊娠に関係なくおりものが大量に出ている人や、大量のおりものが長く続いている人は、早めに病院で診てもらいましょう。