おりものとは、分泌物が混ざり合った液体のこと
おりものとは?
おりものとは、子宮内膜や膣、皮脂腺、汗腺などの分泌物が混ざり合ってできる、粘り気のある液体のことです。
おりものは女性ホルモンの働きによって分泌されるので、おりものの量は初潮から10代にかけて徐々に増加し、20~30代でもっとも多くなるとされています。
女性ホルモンの分泌が減少してくる40代ごろになると、おりものは徐々に減少していき、閉経後にはおりものが大幅に減るそうです。
おりものが出る理由
おりものには、膣から体内に侵入する細菌を防いだり、膣内部の汚れを排出したりする役割があります。
自浄作用
おりものには、潤いのある状態で膣内を清潔に保ち、膣を通して体内に入ってくる細菌を防ぐ、自浄作用の役割があります。
またおりものにより、膣内が弱酸性で保たれているおかげで、デーテルライン桿菌という善玉菌が、カンジダ真菌や大腸菌の増殖を防ぎます。
受精を促進
おりものは排卵期になると、ゼリー状に変わり、おりものが精子を包み込むことで、精子が子宮のもとに到着するのを手助けする役割があります。
そのため、排卵期に受精を促してくれます。
出産をサポート
おりものの分泌量はエストロゲンの分泌量に比例して増加するため、エストロゲンの分泌量が増加する妊娠後期から臨月にかけて、おりものの分泌量も増加します。
おりものの働きによって産道が潤うため、出産時に赤ちゃんと産道との間におりものがあることで、赤ちゃんが出てきやすいようにする役割があります。
おりものが茶色になる原因
おりものの色は女性ホルモンの働きによって毎日少しずつ変化します。
また病気などによってもおりものの色は変化するため、おりものの色を確認することは大切です。
通常のおりものは、透明(もしくは半透明)、白色、クリーム色ですが、酸化した血液がおりものに混ざると、おりものが茶色に変化します。
おりものが茶色やピンク色に見える場合は、正常と異常、どちらの可能性もあります。
おりものに血液が混ざる原因として考えられるのは、以下の通りです。
生理
生理期間の前後は、生理の経血がおりものに混入し、茶色のおりものが見られる場合があります。
生理期間の前後の数日間に茶色のおりものが出ても、生理期間が終われば、通常のおりものの色に戻る場合は、あまり心配する必要がないそうです。
しかし茶色のおりものが長く続く場合は病気の可能性もあるので、病院で検診を受けられることをおすすめします。
妊娠
妊娠超初期から妊娠初期にかけては茶色のおりものが出やすい時期です。
妊娠すると、着床時に子宮内膜が傷ついて出血したり(着床出血)、胎児の成長と共に子宮内の毛細血管が切れて出血したりすることがあります。
出血した血液が体内で酸化し、おりものに混ざると、茶色のおりものになる場合があります。
また妊娠後期から臨月にかけても、出産間近にでてくる“おしるこ”と呼ばれるおりものの1種の影響で、おりものが茶色やピンク色に変化することがあるそうです。
不正出血
ホルモンバランスが崩れると、機能性出血と呼ばれる不正出血を起こす恐れがあります。
不正出血により、血液がおりものに混ざると、茶色のおりものになる場合が多いです。
ストレスや生活習慣の乱れによって、ホルモンバランスは乱れます。
また生理がきても排卵せずに出血する無排卵月経や、黄体が純分に機能せずに女性ホルモンが正常に分泌されない黄体機能不全による不正出血などがあります。
不正出血の場合は、病気のサインの可能性もあるので、病院に行くことをおすすめします。
病気
膣や子宮の病気が原因で、器質性出血と呼ばれる不正出血が起こす恐れがあり、血液がおりものに混ざり茶色になる場合があります。
【おりものの異常からわかる膣の病気】
・膣カンジダ症
・細菌性膣症(非特異性膣症とも呼ばれる)
・萎縮性膣炎(老人性膣炎とも呼ばれる)
【おりものの異常からわかる子宮の病気】
・子宮頚管炎
・子宮頸管ポリープ
・子宮頸がん
・子宮体がん
・子宮筋腫
・子宮内膜症
・子宮膣部びらん
膣カンジダ症
膣カンジダ症は、膣内の常在菌である“カンジダ真菌”が異常増殖することで発症する膣炎です。
ホルモンバランスの変化、免疫力の低下などが原因で、膣カンジダ症は起こります。
性交の経験がない人にでも起こる可能性はありますが、ごく稀に性交渉をした相手からカンジダが移ってしまう場合もあるようです。
細菌性膣症
細菌性膣症は、膣内細菌のバランスが崩れたときに起こる膣感染症です。
さまざまな菌が膣内で繁殖して炎症を起こすことで細菌性膣症は起こるのですが、特定の原因菌は特定されていないため“非特異性膣性”とも呼ばれます。
悪臭のする灰色のような水っぽいおりものが出るのが特徴で、不正出血も伴う場合は、おりものが茶系や赤系に見えることがあります。
過剰な膣洗浄や性交渉、疲労などには気をつけましょう。
萎縮性膣炎
萎縮性膣炎は、女性ホルモンの分泌量が低下することが原因で起こる膣炎です。
そのため萎縮性膣炎は、更年期や閉経後、卵巣を摘出した女性にかかりやすいそうです。
またエストロゲンが不足して膣が乾燥すると、膣粘膜が傷つきやすい状態になってしまうため、性交渉に出血を伴ったり、雑菌が繁殖しやすくなったりします。
萎縮性膣炎になると、茶色やピンク、黄色の、悪臭を伴うおりものが出る場合があります。
子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)
子宮頸管炎は、細菌に感染し、頸管粘膜が炎症を起こした状態です。
子宮頸管炎による不正出血により、おりものが茶色になったり、膿上になったりする可能性があります。
症状が悪化すると、腹痛や発熱を伴う、子宮内膜や骨盤腹膜炎などになる恐れもあります。
子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープとは、子宮頚管の粘膜が増殖することにより、子宮と膣をつなぐ子宮頸管に突起してできる腫瘍のことです。
子宮頸管ポリープは傷つきやすく、排便や性交渉などの刺激により出血すると、悪臭のある茶色やお赤色のおりものが出る場合があります。
子宮頸がん
子宮頸がんとは、子宮の入り口付近である“子宮頸部”にできるがんのことで、20~30代に多く見られる病気です。
おりものの増加だけでなく、性交渉の時の出血や、月経時の経血量が増加する症状が子宮頸がんにはあるため、おりものが茶色や赤色に変化し、悪臭を伴う場合があります。
子宮体がん
子宮体がんは、卵胞ホルモンの影響を受けて月経をおこす役割のある子宮内膜にできるがんのことで、別名「子宮内膜がん」とも呼ばれています。
子宮体がんの症状でもっとも多いのが不正出血であるため、子宮体がんにより、おりものが茶色や赤色に変化したり、悪臭がしたり、膿のような状態になることがあります。
とくに閉経後に出血が続く場合は、子宮体がんの検診を受けましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の内側や外側や、子宮の筋肉の一部にコブのような腫瘍ができる病気で、ほとんどが良性の腫瘍だそうです。
子宮筋腫ができる詳しい原因はまだ判明していません。
症状の中に、生理の経血の増加や不正出血があるため、おりものが茶色くなる場合があります。
成人女性の約4人に1人は子宮筋腫をもっているとされていますが、多くの人に自覚症状がないそうです。
子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮以外の場所に、子宮内膜の組織が成育してしまう病気のことです。
子宮内膜の組織がどこにできても、子宮内膜と同様、生理周期に合わせて発育と出血を繰り返します。
子宮内膜症は不正出血を伴う病気であるため、おりものが茶色に変色する可能性があります。
子宮膣部びらん
子宮膣部びらんとは、膣に面した粘膜が外に向かって広がり、赤くただれたようになる症状のことです。
出血を伴わない場合は粘り気ある白色や黄色のおりもの、不正出血を伴う場合は、茶色や赤色のおりものが出る可能性があります。
子宮膣部びらんは病気でなく、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が活発な時期に多く見られる生理的変化であり、誰もがなりうる可能性があります。
おりものが茶色やピンクに変色した場合の対処法
生理前後の出血や、ストレス等による不正出血などにより、おりものが一時的に変色している場合は、しばらく様子を見て、もとに戻った場合は基本的に病院に行かなくても良いようです。
しかし下記にあてはまる場合は、病気が原因で起こっている恐れもあるので、生理前後や妊娠初期などに関わらず、婦人科で診てもらうことをおすすめします。
・茶色いおりものが大量に出る
・おりものから悪臭がする
・膿のようなおりものが出る
・性交時に出血や陰部の腫れ、かゆみがある
・下腹部痛や腰痛、排尿時痛などを伴う
おりものが茶色に変色する原因は不正出血によるものが多いそうです。
ホルモンバランスの乱れによる不正出血を防ぐためには、まず生活習慣を整え、十分な睡眠をとったり、ストレスを溜めたりしないように心掛けましょう。
また、病気の症状がおりものに変化をもたらしている場合もあるので、おりものの色だけでなく、量やニオイを常にチェックすることが大切です。
少しでも異変を感じた場合は、早めに病院を受診してくださいね。
おりものが出る場合は、おりものシートを活用するのがおすすめ
変色したおりものが下着に付くと目立ってしまうだけでなく、洗濯するのも大変ですよね。
おりものシート(パンティライナー)を活用すれば、下着の汚れを防げるだけでなく、おりもののニオイも防げます。
おりものを長時間放っておくと、悪臭の原因となったり、細菌が繁殖に繋がったりしてしまいます。
おりものシートをこまめに取り換え、できるだけ下着や性器を清潔な状態で保つほうがよいでしょう。
不正出血が大量に出る場合は、おりものシートよりも、生理用ナプキンのほうがおすすめです。
茶色いおりものと妊娠の関係
おりものの状態は、膣や子宮の異常を表す重要な“しるし”です。
妊娠の初期症状の症状として、子宮などから出血することが原因で、茶色いおりものが出る可能性があります。
出血が続く場合や、おりものから悪臭がある場合、出血に痛みが伴う場合などは、産婦人科を受診するようにしましょう。
また妊娠すると、女性ホルモンのバランスが変化するため、おりものの量が増える傾向にあるようです。
おりものの量が大幅に増加した場合は、医師に相談されることをおすすめします。
まとめ
おりものが茶色やピンク色に見える多くの理由は、生理や妊娠、膣や子宮の病気などによる不正出血により、おりものに血液が混ざっているからだと考えられます。
茶色いおりものが長期間続く、おりものが大量に出たり悪臭がしたりする、不正出血がある場合などは、1度病院を受診したほうがよいでしょう。
生活習慣を整えたり、ストレスを溜めたりしないことも大切です。
茶色いおりものが下着に付くと洗濯するのも大変なので、おりものシートやナプキンを活用すると便利ですよ!
おりものの色は女性ホルモンの働きによって毎日少しずつ変化しますが、おりものは病気など身体の異常を知らせるサインでもあるため、色のチェックは頻繁にしておきましょう。