まずは毛が生える仕組みを知ろう
毛の仕組み・構造
表皮から上の部分を「毛幹」、表皮より下の部分を「毛根」、毛根部の1番下の膨らんだ部分を「毛球」と呼びます。
毛を成長させる栄養分を運ぶための毛細血管がたくさん存在する「毛乳頭(毛球の先端部)」により、毛球の中にある「毛母細胞」が栄養を取り込むんです。
毛母細胞が毛細血管から栄養を取りこむことで、毛を成長させています。
毛が生えるメカニズムはどの部位も同じ
人間の毛は、部位に関わらず毛が生えるメカニズムはどこも同じです。
髪の毛と同じように、脇毛やアンダーヘアも生え変わっています。
たとえば、カラダを洗っているときにアンダーヘアがたくさん抜け落ちるときがあると思うのですが、それは毛の生え変わりによるものです。
ワキ毛の場合、ほとんどの女性が生え変わり前に毛を自己処理しているので、毛の生え変わりに気づいてないかもしれません。
毛母細胞がある限り、毛は生え続ける
毛を成長させる毛乳頭や毛母細胞がある限り、目で見えている毛を抜いたとしても、また新たな毛が作り出され、毛は生えてきます。
毛周期・サイクル
毛には毛周期というのがあり、ある一定の間隔で毛は生え変わります。
毛周期は「成長期」→「退行期」→「休止期」の3つの段階を繰り返しながら、発毛と脱毛をしている。
成長期:毛が成長する時期
退行期:毛の成長が止まっている時期
休止期:毛が抜け落ちる時期
毛周期は部位によって異なり、たとえば女性の髪の毛の成長期が約4~6年なのに対し、脇毛やアンダーヘアの成長期は約2~3ヶ月です。
成長期の毛はメラニン色素を多く含んでおり、光脱毛や医療レーザー脱毛の光はメラニン色素(毛の黒い色)に反応するので、成長期がもっとも脱毛に最適な時期とされています。
皮膚の下にも毛が生える
人間のカラダには約500万本の毛があるとされています。
私たちの目に見えているに毛は130万~140万本程度ですが、実際には皮膚の下にもたくさんの毛が生えています。
たとえ、目に見えているムダ毛を処理したとても、ムダ毛を処理したときが成長期の場合、皮膚の下でスタンバイしている新しい毛がすぐ生えてきてしまうんです。
毛が抜ける(脱毛)の仕組み
②毛根・毛乳頭・毛母細胞にダメージを与える
③しだいに毛の成長が止まり、毛が抜け落ちる
脱毛は皮フ下の黒い色素(メラニン)に反応するレーザーやライトの光を利用します。
熱が毛包全体に伝わることで毛乳頭がダメージを受け、毛を作り出す毛母細胞に栄養が供給できなくなって毛の再生能力を奪うので、しだいに毛が生えてこなくなるという仕組みです。
施術回数を重ねて毛乳頭にダメージを与え続けることで、新しい毛根が作られなくなっていき、しだいに毛量が減っていきます。
脱毛には2種類あって、種類によって仕組みが異なる
脱毛には「医療脱毛」と「エステ脱毛」の2種類あり、どちらも脱毛したい箇所に脱毛機器の照射口を当て、レーザー光やライトを照射し、毛を抜く仕組みは同じです。
医療脱毛ではレーザー、光脱毛ではフラッシュなどと照射する光は呼ばれていますが、光を照射していることに違いはありません。
医療脱毛と光脱毛の大きな違いは、1回で照射できる光の強さ(パワー)の違いです。
医療レーザー脱毛
レーザー脱毛(医療脱毛)は、ダイオードレーザーやアレキサンドライトレーザーなどといった医療レーザーを使った脱毛方法です。
医療レーザーは、医療従事者しか扱えません。
特徴
・レーザー脱毛は、単一の波長
・狭い波長の光
レーザー脱毛は狭い波長の光で、熱が広がりにくく、狭い範囲を深く刺激します。
レーザー光が単一の波長、つまり光の波長が一定で、光がまっすぐ一方向にしか進まないので、皮膚下にあるメラニン色素により速く反応します。
そのため毛以外の部分(表皮や周囲の細胞)を傷つけることがないので、安全性が高いです。
光脱毛(フラッシュライト脱毛)
光脱毛(エステ脱毛)は、一般的にはIPL方式と呼ばれるインテンスパルスなどのライトを使った脱毛方法です。
IPL方式に使用されているライトは、そばかすやシミなどの治療にも使われる波長も含まれているため、美肌効果にも期待されています。
光脱毛では出力上限を制限しているので、医療従事者でなくても誰でも扱えます。
特徴
・光脱毛は、複数の波長
・幅広い波長の光
光脱毛は幅広い波長の光で照射時間が長いため、周囲にも熱が伝わりやすく、浅くて広い範囲を刺激します。
光脱毛で使用される光は波長がバラバラで、レーザー脱毛よりも光エネルギーが弱いです。
エステ脱毛では毛根を破壊する行為(高出力のレーザー脱毛の使用)は医師法によって禁止されているため、脱毛の仕組みは同じですが、エステ脱毛では毛根にダメージを与えるまでしかできませんね。
ジェルと照射を併用するS.S.C脱毛という方式もある
毛根にダメージを与えて毛の発毛組織を破壊して脱毛効果を得る“IPL方式”の他に、SSC方式というのもあります。
SSC脱毛は、毛の成長を抑制する効果をもつジェルを毛穴に浸透させ、ジェルの上から光を照射して、ジェルと光の相乗効果により毛根は焼かずに毛の成長を抑える方法です。
SSC脱毛は肌へのダメージが軽減でき、痛みが少ないのが特徴です。
バルジ領域を破壊する蓄熱式脱毛
2000年ごろに“バルジ領域”というのが発見され、毛根の根元よりも表皮に近いバルジ領域を破壊することで脱毛効果を得る蓄熱式脱毛というのが登場しはじめています。
バルジ領域は毛の生成に重要な細胞を作り出す部分で、バルジ領域にある幹細胞を破壊することで毛の成長を止められると考えられています。
蓄熱式脱毛:バルジ領域を破壊
蓄熱式脱毛では「痛み・肌トラブルが軽減できる」「毛周期に関係なくいつでも脱毛できる」というメリットがあります。
ただバルジ領域を狙って照射する脱毛機であっても、現在はまだメラニン色素を介してしか熱を伝えられないため、レーザー脱毛や光脱毛と仕組みは変わりません。
脱毛技術がさらに発展すれば、毛周期に関係なく脱毛できる日もくるでしょう♪
毛が抜けるまでの期間
脱毛は、毛周期に合わせて継続的に施術を受けることが大切です。
多くのクリニックやエステサロンでは、毛の成長サイクルに合わせて2~3ヶ月に1回の施術が目安とされています。
医療脱毛クリニック(医療レーザー脱毛)の場合
施術2回目くらいから脱毛効果を感じはじめ、脱毛が完了するまでに5~8回、つまり1年~1年半かかります。
脱毛サロン(光脱毛)の場合
照射6回目くらいから脱毛効果を感じはじめ、脱毛が完了するまでに12~18回、つまり2~3年かかります。
また脱毛する部位や毛の太さ・濃さ、毛質によっても、脱毛完了までにかかる期間は違います。
脱毛の仕組みに関する「よくある質問」
するっと毛が抜けるのはなぜ?
シェービングを行った後に光を照射すると、毛の黒い部分に光が反応して毛のタンパク質が変質して毛穴が焦げ、毛穴からムダ毛が飛び出して抜け落ちます。
とくに、施術直後に毛がするっと抜け落ちるのは、“ポップアップ現象”というものです。
ちなみに毛根から毛が焼けて抜けるので、抜けた毛は縮れています。
毛穴が焦げていると聞くと驚くかもしれませんが、毛根が毛穴から完全に抜けているということは脱毛成功なので安心してください。
誰にでもポップアップ現象は起こるわけではなく、濃くて太い毛に生じる場合が多いです。
毛が抜けたら一生生えてこないの?
医療脱毛やエステ脱毛に限らず、脱毛後は毛が一生生えてこないということはありません!
全身ツルツルになって永久脱毛に成功したとしても、毛が生えてくる可能性は十分にあります。
医療脱毛
医療脱毛は永久脱毛といわれていますが、脱毛後は一生毛が生えてこないという意味ではないんです!
永久脱毛といっても、「高い減耗率に期待でき、毛がない状態を長期間にわたり維持できる」という脱毛法になります。
日本では永久脱毛の定義が定められていないので、“米国電気脱毛協会※1”や“FDA※2”が定めている永久脱毛の定義を元に考えられています。
※1:米国最大の電気脱毛士団体
※2:日本でいう厚生労働省にあたる政府機関
・脱毛施の1ヶ月後の時点で、毛の再生率が20%以下である。
・施術を3回行った6ヶ月後に2/3(67%)の毛が減っている。
エステ脱毛
エステ脱毛は、毛根を完全に破壊するわけではないので、脱毛が完了しても毛はまた生えてきます。
簡単に説明すると、エステ脱毛は一時的な減毛・制毛です。
シミやホクロに生えている毛は脱毛できるの?
基本的に直接シミやホクロから生えている毛は脱毛できません。
脱毛に使用するライトやレーザーといった光の熱エネルギーは高温であるため、シミやホクロの黒い部分にも反応してしまうと、やけどしてしまう危険性があります。
シミやホクロがある場合、多くのクリニックやエステサロンでは、保護シールを貼るなどし、シミやホクロ部分に光が当たるのを避けて施術を行います。
まとめ
脱毛は皮フ下に待機しているムダ毛の黒い色素に反応する光を照射することで、光の熱エネルギーにより毛根を破壊し、毛が生えてこないようにする仕組みです。
医療脱毛であってもエステ脱毛であっても脱毛の仕組みは大きく異なりませんが、光の強さが異なるため、効果や脱毛期間などには大きく違いがでてきます。
レーザー脱毛では毛根にまで光が届いて毛根を破壊できるため、永久脱毛の効果があります。
しかし、光脱毛はレーザー脱毛に比べてパワーが弱く、ダメージは与えられても破壊まではできないため、一時的な減耗・制毛になります。
脱毛は毛周期に合わせて行うことが大切であるため、多くのクリニックやエステサロンでは2~3ヶ月に1回の施術が目安とされています。
毛抜きでの自己処理を習慣的に行っていると、メラニン色素への照射ができないので注意しましょう。